FOCUS 再発を防いでリカバリーを実現する!
心理教育で、病気を知る、薬を知る、対処法を知る
木村 尚美
1,2
1ひだクリニック
2ひだクリニックデイ・ナイトケア“るえか”
pp.60-70
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100554
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心理教育の「質」が問われています
近年の精神科医療では、これまでの入院治療から患者が地域で生活することを目指す方向へシフトしており、「脱入院」が打ち出されています。そしてそれに呼応するかのように、医療においては薬物療法のみならず、心理教育やSSTが治療における大きな役割を担うようになってきました。けれども一方には、依然として服薬アドヒアランス(服薬に関して患者さん自身が治療参画すること)どころか、病名の告知すら行なわないという精神科医療が残っている現実もあります。
地域で生活する上で不可欠な「病気の受容と理解」、「薬の知識」、「症状の自己対処能力」、「薬の自己管理能力」を獲得するために、心理教育は重要な治療のひとつとされています。心理教育の構造を研究する報告も数多くなされていますが、実際に行なわれている心理教育の内実を見てみると、患者さんや家族が理解しやすいようには話されていなかったり、全く対話がなく一方的に指導する形式であったりと、その実効性はいかほどかと思うものもあります。
本稿では、統合失調症患者を取り巻く現状を考えつつ、近年重視されている心理教育やSSTのかかわりについて、私たちの施設で実践している「るえか式心理教育」を紹介しながら、精神科看護師の治療への参画の仕方を提案したいと思います。
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