Medical Hi-lite
あまり知られていない甲状腺の病気
N・M
pp.50-51
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203396
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知られた病気と隠れた病気
病気にはいろいろあるが,一般の人たちがよく知っているものといえば,ごくありふれた風邪・胃腸病・神経痛とかいったものや,生命にかかわるような恐しい病気とか,頻度はそれほどでなくてもだれにでもわかるような特徴的な症状のある病気,などといったものであろう.ここにとりあげる甲状腺の病気のひとつバセドウ氏病も,眼球突出という特徴的な症状と前頸部の腫脹・心悸亢進・多汗・手足のふるえなどの明確な症状があるので,それほど多いわけではなくても案外多くの人がよく知っている.しかし,甲状腺中毒症といえば知らない人が多いであろう.この病気はバセドウ氏病とともに甲状腺機能亢進症に属するもので,眼球突出のないほかはバセドウ氏病と同じような症状を示すものと思えばよかろう.
一方,頻度は案外高いのに,実際にはそれほど知られず,また気づかれてない病気も結構あるものだ.このようなものの多くは特徴的な自覚症状が少なく,外見上からも発見しにくい種類の病気で潜在性の高い病気といえよう.たとえば,高血圧・糖尿病,それに上述の甲状腺機能亢進症を除く甲状腺腫などがあげられよう.
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