特集2 アルコール離脱期に必要な身体ケアと看護を理解しよう
[1]アルコール離脱症候群 治療編
大畑 充
1,2
1平沼診療所
2東京慈恵会医科大学(内科)
pp.38-44
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
適量の飲酒は健康にもよい面がありますが、過度の飲酒は身体的、心理的な悪影響を及ぼし、さまざまな臓器障害や精神的障害を引き起こします。欧米を中心としたいわゆる先進国では、現在アルコールの消費量は減少傾向にありますが、日本ではまだ減少傾向には至っていません。日本での飲酒人口は総人口の半数以上を占め、アルコール依存症患者も増加しています。
アルコール離脱症状とは、長期間にわたり慢性的に大量の飲酒(少なくとも男性なら毎日日本酒で3~5合以上、女性ならその3分の2程度)をしていた患者さんが、急に断酒したり、あるいは何らかの原因(体調が悪くなってお酒を飲めなくなったなど)によって飲酒を中断したときに起こる症状のことです。この症状の特徴は、再飲酒すると止まり、見かけ上改善することです。
アルコール依存症の患者さんを見慣れた精神科医師や看護師であれば、離脱症候群を診断するのは比較的簡単ですが、経験したことのない人にとってはそう簡単なものではありません。離脱症候群は適切な診断・処置をしないと生命にかかわったり、他の疾患が潜んでいたり、合併している可能性もあるので、厳重な観察が必要な病態です。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.