特集1 水中毒への対応に革命を起こした病院のノウハウ
「多飲症の治療」を見つめなおす
川上 宏人
1
1山梨県立北病院・精神科
pp.18-26
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100415
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1.水中毒を「防ぐ」から「安全に飲める」へ
◎過去には恒常的に保護室を利用していたときも
水は生命の維持に必須な物質である。人体の50~60%は水分からなっており、複雑な調節によりそのバランスはほぼ一定に保たれている。個人差はあるが、通常私たちが1日に摂取する水分量は約2~2.5リットルである。このうち約30~50%は「飲む」水分で、それ以外は食事から摂取する水分や生命活動における細胞からの代謝産物である。
精神科医療において多飲症や水中毒は治療困難性や長期入院とも関連が深く、見過ごすことのできない問題である。しかし、多飲症に対して有効な治療法はいまだ確立されておらず、しばしば予防的な隔離などの行動制限による対応を余儀なくされている。
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