連載 私が休日に出会った本・9
自分を見つめなおすとき
加納 佳代子
1
1八千代病院看護部
pp.735
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902347
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知識欲に突き動かされて,むさぼるようにガーッと本を読むこともあれば,現実から離れたくて本の世界にどっぷりと浸かることもある。そしてまた,拾い読みをしているうちに自分の中にある感情を思いがけず発見することもある。詩集を広げるのは,自分をそっと見つめてみたくなるときである。
詩集『わたしの愛する孤独 メイ・サートン』(立風書房)は,ちょっと風変わりだ。女性詩人メイ・サートンが69歳の時,彼女の人生や仕事を語り,その中でみずからの詩を朗読しながら解説を加えた『ザ・ワールド・オブ・ライト…ポートレート・オブ・メイ・サートン』というフィルムをもとに創られた。彼女が紡ぎ出す詩は,どんな詩かと問われても,説明は難しい。訳者の落合恵子が短いあとがきのようなものを書くのに「今日こそ,明日こそ,の数か月であった」というぐらいだから。しかし,彼女はこう続ける。
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