書評
『多飲症・水中毒』
橋本 茂
1,2
1四国大学看護学部看護学科精神看護学
2前徳島大学医学部附属病院
pp.53
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101941
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多飲症・水中毒ケアについてすべてを網羅した決定版
最もやっかいで,有効なケアができない無力感
「多飲症・水中毒」ケアは,精神科看護において最も厄介な対象の一つといっても過言ではないでしょう。
振り返ると,私は「多飲症・水中毒」について有効な看護ケアを実践したという経験は正直なところありません。私の場合,むしろ戦いでした。少しでもよいケアを提供したいと,専門書や研究文献を探してもそのほとんどが事例報告の類であり,根拠のあるケアを示したものはなかったように思います。このような状況ですから,いつも手探りの状態でした。そして,結果も“水との物理的隔離”と“対症療法”となり,看護ケアを提供したとは言い難く,最後には,屈辱と無力感ばかりが残るという有り様でした。
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