特集1 「単剤化」を成功させるために必要なこと
抗精神病薬に「鎮静」作用を求めてはいけません―なぜならそれは多剤・大量療法を生み出すから
大下 隆司
1
1東京女子医科大学医学部精神医学教室
pp.29-33
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100397
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日本だけにみられる多剤併用療法の原因
日本で初めての新規抗精神病薬リスペリドンが出てからすでに10年が経ちました。今ではクエチアピン、ペロスピロン、オランザピン、アリピプラゾールが加わり、新規抗精神病薬は5剤となっていますが、諸外国に比べるとまだ処方率は低く、旧来薬を中心とした多剤・大量療法が続いています。さらに最近では、旧来薬の上に新規抗精神病薬を重ねた多剤・大量療法も認められるようになり、新たな問題となっています。
実は欧米でも、多剤・大量療法は1960年代に盛んに行なわれていました。1967年にフリーマンの総説で「抗精神病薬の2剤併用が単剤を凌駕する根拠はない」と述べられたことが契機となり単剤化が進みましたが、その後も多剤・大量療法は続いていました。1970年代には急性症状に対し、ハロペリドールなどを治療開始24時間以内に100mgという高用量を投与する方法が頻繁に用いられました。
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