発言あり 耳の日と現代の生活
聞こえの障害ある人への認識を深める日に,他
田内 光
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター耳鼻咽喉科
pp.141-143
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207628
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「耳の日」は,我々耳鼻咽喉科医にとっては耳新しい言葉ではない.聞こえの障害のある人々にとっても同様であろう.それでは聞こえの正常な人々,いわゆる健聴者にとってはどうであろうか.「耳の日」の存在を知らない人も多いであろうし,知っていてもただ漠然と「耳の病気にならないように注意をする日」ぐらいに考えているのではないだろうか.しかし「耳の日」は聞こえの障害を持つ人だけでなく聞こえの正常な人にも,ぜひ「聞こえの障害」について関心を持って欲しい日なのである.
体の不自由な人や,目の見えない人の障害は外見的にもよくわかり,そういう人たちが困っていれば回りの人は手をさしのべるであろう.車椅子の人が立ち往生していれば後ろから押してあげるでしょうし,目の見えない人には手を貸してあげ誘導してあげるでしょう.しかし,聞こえの障害には気づかないことが多い.外見上は五体満足で,その行動は普通の人と変わりがなく,見掛け上は何の不自由もなく行動し,生活しているように見えるからであろう.しかし実際には,耳からの情報不足のため回りに人一倍気をつかい,不自由な生活を送っているのである.聞こえに異常のない人も聞こえの障害をよく理解し,またそのような人たちとどのように対応したらよいか考える必要があると思う.一般の関心が低いがゆえに十分な配慮がなされず,聞こえに障害のある人は非常に困る場合がある.
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