連載 それいけ!フレッシュナース[3階病棟の12か月]・21
癌患者の心の声が聞こえますか?
勝田 仁美
1
,
藤田 悌子
,
西元 勝子
2
1兵庫県立厚生専門学院
2自治医科大学看護短期大学
pp.1234-1237
発行日 1990年12月1日
Published Date 1990/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900287
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癌患者さんと関わる中で,何となく話の成り行きに「あー,どうしよう」と困って気まずい思いで退室したり.意識的に詁の方向転換をしてしまって,自己嫌悪に陥った経験はありませんか,癌患者さんの言葉にならないつらい叫びを感じ取っているか考えてみてください.
癌患者さんは.偽りの病名を聞かされていることが多いのて.病状の悪化と共に.聞いた説明とは裏腹の矛盾だらけの日々を週ごしていることがよくあります.癌でなくても癌ではないかと疑う入院生活.病状が悪化する患者さんはどの人も,自分は癌ではないかという不安や恐怖と,そうではないという望みとの間で揺れ動いています,「誰か助けて」とすがるような気持ちを持ちながら,それを誰にも伝えることができずに,ただじっと無言でいるのです.時には人格さえも変えてしまうほどの痛みと闘いながら…….
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