特集 医療者が楽になる「リスクマネジメント」
松沢病院のリスクマネジメント
5.安心して働ける体制をどうつくればよいのか ➁教育・OJTの工夫―トレーニングはリアルさが命
釜 英介
1
1東京都立松沢病院医療安全対策推進室
pp.50-53
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100262
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OJTとは,on the job trainingの略で,現任教育または職場内教育といわれている教育方法です。私は専任リスクマネジャーとして,松沢病院全体に対する安全管理・事故防止の教育を担っています。とくに看護師に対しては,その数が多いことに加えて,複雑で多忙な業務により事故発生の機会が多いために,このOJTを通して安全管理・事故防止の知識と技術を注ぎ込んでいます。またそれらに加えて対象である患者が精神の障害を患っているのですから,より注意を払わなければならないと考えます。そのために,通常の集合研修だけでは不備があると思い,各病棟に出張する形でこのOJTを実施しています。ここでは実施された2つのプログラムを紹介します。
救急蘇生リアル・シミュレーション
いわゆる救急蘇生の訓練です。でもちょっと違います。係は決めません。そして内容もちょっと違います。患者を搬送したり,心臓マッサージを行なったりすることは,基礎的な研修ですでに実施しています。そんなことをOJTのなかで行なっても,あまり意味がありません。それよりは救急カートで蘇生の介助をしたり,心電図モニターやカウンターショックなどを運んで実際に稼動してみたり,また患者のカルテを出して病名や既往歴,家族の連絡先などを応援に来た医師に伝えたりするのです。
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