特集 医療者が楽になる「リスクマネジメント」
松沢病院のリスクマネジメント
1.リスクマネジメントはキツいもの!?―じゃあどうすればいいんだろう
釜 英介
1
1東京都立松沢病院医療安全対策推進室
pp.24-28
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100257
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最近,ある貴重な体験を3つばかりいたしました。
先日,ある医師の送別会に出席しました。私自身,その会の幹事でしたが,少々遅れての参加となりました。案の定,みんなはできあがっていて,私1人だけがしらふの状態でした。そこにある看護師(女性,5年目)がおもむろにやってきて私にくだを巻き始めました。
「ねえ,リスクマネジャーさん。あなたねぇ,あのぉ,インシデント・アクシデントレポートって,いったい何なんですか? もううざったくてしょうがないんですよぉ。とくにインシデントとアクシデントの区別って,いったいどうなっているんですか? 何かこおぅ,しっくりいっていないんですよねぇ」
“うっ,きたか!”と思いながらも丁寧に説明しました。なにしろ私だけがしらふですから,助けてくれる人は誰もいません。四面楚歌の状態です。さらに相手の看護師の目はすでに据わっています。この状態を抜け出す方法はないものかと考えていると,その看護師は「まっ,どうでもいいんですけどねぇ,結局,書かなきゃいけないんですからねぇ。ああー,やだやだ」。そう言って私のもとから去っていきました。
ホッとしたのもつかの間,他の人からも事故を起こしたのにレポートを書かなかったという告白や,事故を起こして責められた話などをえんえんと聞かされることになりました。そんな話ばかりで少々うんざりしましたが,よくよく考えてみれば,みんな私に何らかのメッセージを送っているんだなと思えてなりませんでした。
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