特集 新薬が使える病院,使えない病院
―この特集がなぜ必要なのか―新薬は,「チーム医療があるかどうか」の試金石です
野中 猛
1
1日本福祉大学
pp.16-17
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100235
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「日本だけが多剤併用」の怪
わが国でクロルプロマジンが発売されたのは1955年でした。統合失調症に効く薬が現れたことによって,精神科の医療は革命的な変貌を遂げたのです。進行して人格の荒廃に至るという不治の病から,何とか工夫すると地域生活が可能となる慢性疾患へと位置づけられるようになりました。
近年,さらに新たな抗精神病薬(新薬)が出現し,統合失調症の治療と支援に大きな変化が現れようとしています。わが国では1996年にリスペリドンが発売されました。引き続き,ベロスピロン,オランザピン,クエチアピンが発売され,クロザピンなども治験が再開されています。これらは,比較的少量で幻覚や妄想などの陽性症状に有効で,錐体外路症状などの副作用も少なく,さらに認知行動障害などの陰性症状にも有効であることが認められています。
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