特集 新薬が使える病院,使えない病院
―医師の経験―そして何も起こらなかった
三浦 宗克
1
1埼玉精神神経センター
pp.18-25
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100236
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
一昔前なら,東京の精神病院に勤務している職員で彼のことを知らないと“もぐり”といわれたかもしれない。私の勤務する病院は埼玉県にあるが,その埼玉県でもいくつかの病院に入退院を繰り返している。風の便りによると,最近は千葉県内の精神病院に入退院を繰り返しているらしい。彼自身も何回入退院を繰り返したのかわからないという。
そんな関東の精神病院事情に詳しい人物が私の勤める病院に入院していたときに,入院の不当性を訴えながら1つだけ褒めてくれたことがある。「この病院はこんなんなってる奴が1人もいねえのはさすがだよ」と両手を幽霊のように前に垂らし,小刻み歩行をして見せた。いわゆる,薬漬のために薬剤性のパーキンソン症状が出現して歩行障害を起こしている患者の格好を真似て見せたのである。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.