書論 『自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』
障害をどうわかるか、罪の前に何をなすべきか――をめぐって
立岩 真也
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.110-116
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100169
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二つ、明示されている
2001年に浅草で男性が女性を包丁で刺して死なせた事件が起こった。刺した男(以下「男」で通す)は自閉症の人だった。弁護側は、そのことが理解されておらず、捜査側の主導で供述書が作られ検察もそれに乗っていると指摘し、裁判所はそのことをわかれと主張した。しかしその主張は認められず、無期懲役の判決が下された。本書はこの事件を取材して書かれた。なお、男はいったん控訴するが、この本が書き終えられた後(2005年4月)控訴を取り下げて――いずれについても弁護士に相談はなかった――この裁判は終わってしまった。
著者の佐藤幹夫は1953年生まれ、養護学校の教員を21年勤めた後、2001年からフリーライター。ここしばらく、読み応えのある本の多くがそうした書き手たちによって書かれている。著者のホームページ――私のところからもリンクされている――があって、それを見るとわかるが、既にたくさんの紹介・書評が出ている。おおむねきちんと紹介し評価してあって、どんな本かがわかる。あとは実際に買って読めばよいということになっている。
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