介護保険関連ビジネス最前線・3
保健・医療・福祉複合体の強みを生かした事業展開―聖隷福祉事業団・上野桂子在宅サービス部長に聞く
上野 桂子
1
,
本誌編集室
1整隷福祉事業団本部事務局在宅サービス部
pp.744-751
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902410
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二木立氏(日本福祉大学教授)が『保健・医療・福祉複合体―全国調査と将来予測』(医学書院)を著してから2年弱が経過した.本書は研究報告書であるが,医療機関を事業体としてみていくときに非常に示唆に富む内容が盛り込まれている.ここでいう「複合体」を二木氏は「単独法人または関連・系列法人とともに,医療施設(病院・診療所)となんらかの保健・福祉施設の両方を開設し,保健・医療・福祉サービスを一体的に提供しているグループ」と定義している.とくに本書が注目されるのは,介護保険の導入によって「複合体」化の流れが加速する,と明言している点だ.介護保険との関連では,マスコミはもっぱら民間の介護ビジネスに注目しているようだが,二木氏はむしろ,「複合体」のほうがはるかに有利だと論じている.
保健・医療・福祉複合体といえば,この業界に詳しい人ならまずは聖隷福祉事業団を思い浮かべるほど,知名度は高く規模も桁外れに大きい.700床規模の基幹病院2つをはじめとして有料老人ホームを全国展開,さらに,歴史的にも社会福祉法人として結核のサナトリウムを開設したところから出発しているので,医療法人系の新興「複合体」と比べると福祉施設の数も圧倒的に多い.訪問看護ステーションは浜松周辺に5か所と,兵庫県の宝塚で特養を運営している関係でそこにも2か所.在来の福祉施設に併設した通所サービスはもちろん,ヘルパー事業にも早くから着手していた.
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