人
キリストにならい生涯を聖化された奴隷として尽す 聖隷福祉事業団会長 長谷川保氏
西村 一之
1,2
1日本基督教団遠州教会
2聖隷学園浜松衛生短大
pp.729
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207550
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昭和初期の不況以来,氏が手がけた仕事を一貫して変わらない精神がある.「社会的弱者」に対する愛惜である.天刑病とされた患者,よるべない寡婦・孤児,抑圧され軽視される人々の代弁者となって人権を主張し,医療・福祉上で必要なものを充足させて,社会に再起・復帰させることであった.そのために障害になるものはなんであれ,打破するために尽きることのない力と知恵が涌き出る.
敗戦後まで社会保障のなかった20年間,徒手空拳で労苦した結核者の救済は,結核撲滅史の手本である.この経験をもとに,代議士時代の間,生活保障と社会福祉の分野の立法化に専念する.基本条件が整うと,氏はあっさり野に戻り,再び実践に没頭する.国士,故榊原仟博士を顧問に依頼し,心臓センターを手始めに,以後,脳外科センター,ガンセンター,予防検診センター,そして本邦最初の未熟児センターを創設する.私心のない氏は,驚くべき鋭い感受性をもって時代の先を洞察し,余人に先んじてニーズを把握する.
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