特集 「対人援助困難」を克服する
「訪問看護とは何なのか」からとらえなおす
藤井 賢一郎
1
1三菱総合研究所福祉・医療研究部
pp.481-486
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901830
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筆者の立場
今回の特集の中で筆者のような門外漢が執筆の機会を与えられることは,光栄な反面,正直にいえば戸惑いが大きい.筆者の臨床経験自体ごく限られたものであり,その経験の中の「困難事例」が読者諸氏に有意義なのか,どうも自信がない.また筆者の現在の興味は,保健医療福祉施策の経済学的側面,つまり「仕組み」や「システム」にあり,「個」に対する援助そのものに対して語る資格が筆者にあるとは思ってはいない.
ただ一方で,訪問看護でいう「困難事例」についての考察は,サービス提供の仕組みやシステムの問題として捉えることも重要ではないかと考えている.ここで言いたいのは,サービス提供システムに問題があるので困難事例に十分対応できないというのでなく(実際そういうことも大いに考えられるが),サービス提供をめぐるシステムや仕組みへの理解のない援助が困難事例を生む可能性についてである.
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