連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・14
高齢者と感覚刺激
湯浅 孝男
1
1秋田大学医療技術短期大学部
pp.406-409
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901496
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人への感覚刺激の影響
障害を持つ高齢者が急増し,特に寝たきり老人や痴呆老人への対応が急務となっています。看護生理人類学の観点から要介護老人の適切な環境を見直すのも,よりよい看護・介護を考える手がかりとなるでしょう。
われわれはこの世に生を受けてからさまざまな感覚刺激を十分に受けながら生きてきました。見たり(視覚),聞いたり(聴覚)することは普段の生活でも意識することはありますが,その他にもさまざまな感覚があります。例えば何気なく立ち上がる時はどのような刺激が脳に送られるでしょうか。自分の筋肉や関節の動き(固有受容覚)や位置・傾き(前庭覚)がどうなっているかを感じたり,足底で体重や重心のずれを感じたり(固有受容覚と皮膚感覚)しています。何かにつまずけば急激な重心移動を感じとり(前庭覚),転倒を防ぐために瞬間的に姿勢を立て直そうとして必要な筋を緊張させます。
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