特集 在宅における効果的な口腔ケアを目指して
なぜ今,口腔ケアが求められているか
米山 武義
1,2
1米山歯科クリニック
2広島大学歯学部
pp.876-880
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901411
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はじめに
■口腔ケアが科学的根拠に基づいて認識され始めた
最近,老年医学会雑誌に「老人性肺炎の病態と治療」という論文が掲載され,新しい老人性肺炎の戦略が示された1)。その中で特に目を見張ったのは,口腔ケアという項目が太字で新しく加わっていたことだった。老年医学の分野でわずかずつではあるが,口腔ケアは確かな歩みを始めた。
私は,静岡県の某特別養護老人ホーム(以後特養)に歯科の検診を目的に訪問する機会があった。応接室に通され,施設長,看護師長,主任寮母,事務主任と話をしているうち,口腔ケアの効果の話になった。「口腔ケアのお陰で,1998年冬から1999年春にかけて猛威を振るったインフルエンザにうちでは1人もかからず,職員皆でほっとした」というエピソードを聞いた。日本中をある種のパニックに陥れたインフルエンザの話題だった,と記憶している。
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