特集 在宅における効果的な口腔ケアを目指して
介護サービスにおける歯科衛生指導への期待
新庄 文明
1
,
濱口 盛子
2
,
山口 とき子
3
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科健康予防科学講座
2長崎大学歯学部附属病院看護部
3長崎大学歯学部附属病院歯科衛生士室
pp.881-885
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901412
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
高齢者と口腔保健
老化は身体,行動,感覚などのあらゆる側面の機能低下を伴うが,咀嚼機能の低下は歯の喪失によって直接的に現れる。高齢者では一般に栄養の吸収力が低下するうえに,咀嚼力の低下による「軟らかくて消化のよい」ものを主とする食事の偏りは,タンパク質やエネルギーの不足をきたすことになりやすい。
その結果,高齢者の歯科保健の現状は日常生活の内容や健康状態に極めて密接に反映されやすい。「おもに自分の歯で食べることができる」とする高齢者では,「健康状態は良好」「悪いところはない」という者が比較的多いが,その一方で,すべての歯を喪失したうえに義歯も装着していない者には「入院中」「寝たきり」などと回答する者が多くみられることなどは,その現れである。また高齢者に特徴的な,「寝たきり」の原因となる脳卒中や骨折の発生は,いずれも食生活と深いかかわりがあり,食生活は寝たきりの予防のためにも,極めて重要な要素である。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.