研究報告
訪問看護実践場面に必要とされるフィジカルアセスメントについての現状調査の試み
三笘 里香
1
,
小松 洋子
2
,
中井 順子
2
,
山内 豊明
1
1大分県立看護科学大学
2奈良県看護協会
pp.47-53
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901386
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目的
昨今の社会通念の変化や個人意識の高まりは,医療の展開場面をこれまでの病院を中心とした医療施設内に限定せず,生活の本拠地である自らの家,すなわち在宅での療養へと発展させた。今日我が国では世界でも類い稀なる超高齢社会の到来を迎え,1982年の老人保健法の制定を皮切りに施設ケアから医療・福祉を統合した在宅ケアへとケア展開場面も移行しつつある。さらに医療経済面からも,在院日数の短縮化が方向づけられ,高齢者のみならずこれまで長期入院を余儀なくされていた難病,障害,痴呆等の者が在宅に移行せざるを得ない状況にもある。
このような変化に伴い,在宅における医療,看護が促進され,これまでにないほどの多様かつ医療依存度の高い対象者が在宅ケアの対象として急増しつつある。対象者からの訴えや症状・徴候をそのまま正確に伝えることもさることながら,その場で他の医療職者が同席しない中で,身体的変化を正確に観察し的確な判断を行なうことは,訪問看護の場面ではもはや必然である。つまり介護職には求められないが,在宅における看護サービス提供者には対象者の身体状態を見極めるための専門的に訓練された知識・技術が求められるのである。実践的なケア遂行にあたっては対象者の身体的状態の正確な把握なしには成り立たないが,そのためにも不可欠なものがフィジカルアセスメント技能である。
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