特集 在宅看護論臨地実習の現状と課題
特集3
在宅看護論実習での核となる学習内容―訪問看護ステーションは何を学ぶ場なのか
柳原 清子
1,2
1新潟青陵大学
2前 日本赤十字武蔵野短期大学
pp.635-645
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901352
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はじめに
在宅看護論は訪問看護論ですか?という問いかけから本稿をスタートしようと思う。何を今更,という指摘があるかもしれないが,実は統一した定義づけのないままに,教育現場は実習をスタートさせている。こうした在宅看護の概念が未整理な状態では,実習目標が総花的(多くのものが脈絡なく盛り込まれたもの)になる可能性がある。在宅医療・在宅ケアが政策誘導され,社会制度がめまぐるしく変化しているこの時に,総花的な教育目標を掲げたのでは,学生は目先のことに振りまわされた実習となってしまう。
実際,「生活者重視」「自立支援」「家族負担」「ネットワーク」「社会資源」「ケアマネジメント」など,学生はポンポンと言葉を出してくる。だがそれは,実習で出会った事象を構造化することも,関連で整理していくこともないままの,単なる流行語(はやりことば)を述べている場合が少なくない。学生に罪はない。在宅看護実習での「核となる学習内容」は何なのか,また選択された実習機関において,そこでの教育は何をねらうのか,の教育目標の絞り込みが不十分な時に,このことはおきてくる。ではなぜ絞り込みが不十分となるのか。端的にいえば,在宅看護実習の本質を考える際,教育現場に迷いや戸惑いがあるからである。
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