特集 契約になじまないケースあなたならどうする?
特集2
保険者(自治体)にケアプランへの関与を求める―契約になじまないケースの処遇のために
田村 宏
1
1慶應義塾大学大学院SFC研究所
pp.187-192
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901281
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はじめに
今,ケアプランが無秩序状態にある。バランスの悪い,一方的かつ画一的内容が横行しているのだ。背景には,制度全体の問題から個々のケアマネジメントにかかわる問題まで,さまざまなことが指摘できる。ケアマネジャーの出身母体別に能力格差がありすぎること,日々,給付管理などの事務作業に追われ,要介護者のアセスメント(課題分析)に時間がとれないこと,また,経営者らから系列のサービス導入を迫られること,なども大きい。
実は私自身もケアマネジャーであり,こうしたことは他人事ではない。自責の念を込めて言うと,福祉畑出身である筆者は医療的視点の乏しいケアプラン作りに加担していたとも言える。要介護者の生活レベルばかり課題分析し,在宅のケアプランといえば「初めに訪問介護ありき」と思っていたことは事実である。もっともケアマネジャーに傾向や特徴があって当然であるとし,それを承知で選ぶ利用者に自己責任の観点を求める意見も根強い。ケアプランにおけるバラツキを問題であるとするべきかどうかは評価の分かれるところであろう。しかし,少なくとも,「介護保険の要」と言われるケアプランのあり方に,客観的かつ組織的なメスが入っていないことは事実であり,問題であると私は思う。
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