特集 契約になじまないケースあなたならどうする?
特集3
処遇困難ケースについての対応を考える―基幹型在宅介護支援センターの立場から
根本 明
1
1足立区社会福祉協議会・基幹介護支援センター
pp.193-198
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901282
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措置から契約へ
社会福祉基礎構造改革について
終戦直後に生活困窮者の保護・救済を目的として整備された日本の社会福祉に関連する法律は,その後も状況の変化に応じて改正されてきた。しかし,近年の社会福祉に対する国民ニーズの普遍化と多様化のなかで,根本的な見直しを迫られ,社会福祉事業法(社会福祉法)等の一部を改正する法律が平成12年5月に成立した。社会福祉事業,社会福祉法人,措置制度については,昭和26年の社会福祉事業法制定以来の根本的な改正が実施されることになった。その改正の内容は,①利用者の立場に立った制度の構築,②行政措置による福祉から利用者が選択する福祉への転換と利用者保護制度の創設,③サービスの質の向上,④事業者の自己評価と事業運営の透明性の確保,⑤社会福祉事業の充実・活性化,⑥地域福祉の推進,などである。
上記の一連の社会福祉基礎構造改革の理念の1つは選択可能性の確立であり,自己決定と自己責任が伴う契約社会を前提としている。契約は本人・家族に適切な判断能力があることを前提として成立するもので,介護保険における介護サービスも消費者契約法の適用対象である。介護保険における契約の特徴は,①介護サービスを買う消費者が心身機能の衰えた人であること,②形のある商品とは異なり,サービスの内容や質がわかりにくいこと,③第三者のいないところで提供される場合が多いこと,である。
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