特集 急変する医薬品政策―病院としての対応
薬価制度の現状と課題
白神 誠
1
Makoto Siragami
1
1日本大学薬学部薬事管理学研究室
pp.462-466
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100830
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■薬価差解消への努力
医療費の高騰が続く中で,薬剤費をいかに抑えるかは各国共通の課題である.特にわが国の場合は,国民皆保険の下,価格を公定化し出来高払いを原則としていることがその課題をいっそう難しいものにしている.医療保険は現物給付が原則であるから,薬をはじめとした医療に用いられる物品については購入した費用を支払うというのが基本的な考え方であるが,個々に対応する煩雑さを避けるために薬価基準を設け,薬の償還価格を平均的な価格に固定したために,実際の購入価格との間に薬価差が生じることになる.
薬価差の存在は,どうしてもより薬価差の大きい薬剤が処方され,より多くの薬剤が使用されることにつながる.したがって薬価差を縮小することが,薬価基準創設以来の第一の課題であった.できるだけ正確に取り引き価格を把握し,その価格を基に薬価差を生じないように価格を付け直すこと(薬価改定)が原則2年に1度,繰り返し行われている.結果としては全体として薬価の引き下げにつながっている(表1).
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