連載 小瀬古伸幸の精神科訪問看護のしくじり体験・第3回【最終回】
私の訪問時だけ不在にするようになった双極症Ⅱ型の男性—「面白い話をして」の真意
小瀬古 伸幸
1
1訪問看護ステーションみのり
pp.504-508
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202049
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事例 双極症Ⅱ型、40代、男性Fさん、生活保護受給中
Fさんは生活保護を受給しながら一人暮らしをしています。支援者に対してしばしば無愛想となり、言動が少しでも気に入らなければ一方的に怒り出すこともありました。昼間からお酒を飲んだときは、訪問した保健師に泥酔したまま行政に対しての不満を長時間にわたって話したりします。半年以上通院しないこともあるので、生活保護課の担当者がFさんに治療を受けるように勧めると、「うつ病で動けない人間に身体に鞭打ってでも病院に行けと……そんなひどい言葉を投げつけるんですか」と病気を理由に反論するため、担当者は対応に苦慮していました。
ある日、保健師がFさんに、「訪問看護を受けて、気分の波との付き合い方を一緒に考えてもらってはどうか」と提案しました。すると、「気分の波が落ち着いたら働きたい思いもあるので、受ける」と承諾しました。その後、主治医からも了承を得て、訪問看護が開始となりました。
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