東西南北
献体運動と医学—献体運動の真意と医学教育への期待
倉屋 利一
1
1白菊会本部会
pp.189
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202222
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"医療の荒廃"ということが騒がれはじめたのは昨今のことではない.しかし,先日報道機関が競って取りあげた富士見産婦人科病院の事件は,"荒廃"という実態を明らかにしてくれたばかりでなく,同様の乱療が全国で行われていることを,我々に知らせてくれたが,誠に恐ろしいことではないか."医療"によって病苦から救われることを願う我々にとって,医療とは,"医学"とは何であろうか,と思わずにいられない.
医学教育において実施される最初にして最大規模,かつ長期にわたる実習と言われ,しかもこれを修了しなければ卒業できず,したがって医師になれないのが"解剖学実習"である.教材はもちろん,人体即ち人間の遺体である.当然のことながら,この教材は金で買うことはできないし,また買ってはならないものである.だから,その入手の困難さは世界各国の大学に共通した問題であり,我が国においても例外ではない.
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