特集 「外来でがん薬物療法を受けている人」の依頼を受けたときに
がん看護専門看護師に聞いた! “私はこう関わる”
治療期から治療を終えた後までを、訪問看護が一貫してサポートする—治療期から看取りまで関わった事例から
田中 雄大
1
1コパン訪問看護ステーション
pp.184-192
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201851
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外来化学療法を受ける患者の背景
病院の化学療法室で抱いた困難感
現在のがん治療は、入院ではなく、外来診療の場でさまざまなことが決定される。がん告知から治療法の選択まで、外来診察の限られた時間で行われるぶん、患者側からすれば支援を受けづらい環境にあると言える。医療者は、そうした環境にあることを前提に、短時間でも患者が情報を正しく理解し、患者自身の価値観や意向に沿った治療決定ができるよう、タイムリーな支援を行っていく必要がある。
しかし、外来の看護師は業務が多忙で、その役割を遂行するのが難しい実情がある。過去、筆者も病院の外来化学療法室で勤務をしていたが、患者と関わるための時間を十分に確保することに困難感を持っていた。また、仮に話を聞く時間を持てたとしても、化学療法室はカーテン1枚で隔てるしかない環境だ。そのため、患者のプライバシーが確保できず、今後の治療への気持ちや患者の考えを集中して聞くことに難しさを感じていた。
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