特集 倫理的感受性を高める—ACPにも必要な「価値観を揺さぶられる」感性
—【Case❷】—サインに気付ける「ゆとり」が必要—些細な「モヤモヤ」事例から
倉持 雅代
1
1医療法人社団律昌会さくら醫院
pp.9-11
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201598
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「誰かがいること」を優先してしまう
ある療養者、Aさんのこと。訪問看護の依頼時にその背景を聞き、生活環境を見た時点で、「今は元気だけど、この病気は進行性だし、独居。早めにケアマネジャーとヘルパーに介入してもらって、よい関係をつくってもらい、安否確認ができるようにしなきゃ」と思い、早々にサービス導入を決めた。
しかし、Aさんは介護保険の仕組みも訪問看護の必要性も認識できておらず、「頼みたいこと」と「介護保険の範疇でやってもらえること」が合致しなかった。最初はこちらの提案を渋々受け入れてくれたものの、ヘルパーが来ても「頼めることがない」と途中で断わってしまった。安否確認も含めてサービスを導入しておきたかった“こちらの理由”は本人にとって関係ないものであった。
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