特集 神経学における最近の研究
<臨床>
ウィリス輪閉塞症—モヤモヤ症
工藤 達之
1
1慶応大学医学部
pp.808-809
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904941
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脳卒中症状を呈して発病する疾患の一つで,その脳動脈像がきわめて特異なことと,乳児から老齢者までの広い発病域を示すこと,などからも未知の病態に属するものであろうとして,広く注目をあびている。
すでに,わが国で500例以上の症例が発見されているが,これが一つのdisease entityに属するのか,多原因による症状群なのか,いまだに説は定まらない。それは本症には若年時と成人時の2つの発病型があり,その臨床症状が異なっており,その動脈像にも若干の違いのあること,また,病理所見上この疾患に特有とされるものが見出されていないこと,などの理由による。また,本症は緩徐に進行する両内頸動脈末端の閉塞によって起るが,この原因もいまだに明かになっていない。以下,本症についての問題点をとりあげつつ,その研究の概略を紹介し,併せて筆者の提唱する本症の病態についての仮説を述べたいと思う。
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