特集 きみたちは麻酔界をどうするのか
Academic Anesthesiologistたれ—きみのモヤモヤは何ですか?
田村 高廣
1
Takahiro TAMURA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 麻酔蘇生医学講座
pp.72-75
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320010072
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はじめに
近年,日本の研究力低下が問題視されており,麻酔領域における学術活動も例外ではなく低迷してきている。実際に,2016年までの日本麻酔科学会年次学術集会への演題登録数は,毎年約1250件超を推移していたものの,2017年から年々減少を続けている。ここ数年の演題登録数は2016年頃と比べ半分未満に低下しており,新たな知見を積み上げる学術活動が危機的状況に向かっているといえる。
それでは,なぜ演題登録数が減ってきているのか? 臨床研究法が2017年4月14日に公布された影響があるのだろうか,研究費配分の問題なのだろうか,専門医取得や更新のための学会発表要件が緩いからなのだろうか,研究を実施する意義が若手世代に伝わらないからだろうか,……研究力低下の原因を考えても枚挙に暇がない。
本稿では,読者が経験した貴重な症例報告や実施した研究成果が学会での演題報告や論文発表につながることを期待して,特にリサーチマインドについて述べる。なお,本稿での「研究」は,基礎研究および臨床研究をも含めた学術活動全般を含む用語とする。
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