実践報告
うつ病のある要介護高齢者に対する訪問看護師の看護実践—脳梗塞頸椎損傷男性の療養生活の対応
野田 恵美子
1
,
奥田 三枝子
2
,
森實 詩乃
3
1東京医療保健大学成人・老年看護学領域
2お天気介護サービス訪問看護ステーション
3千葉大学大学院看護学研究科訪問看護領域博士後期課程
pp.225-229
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201400
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望まれる高齢者の「うつ病対策」
現在、全国で要介護認定を受けている高齢者のうち、「うつ」が57.2%、「高度なうつ」が23.1%存在する。高齢者のうつ病は、日常生活自立度の低下や要介護度の上昇で増加するため、身体機能と精神症状を関連させたうつ病対策が望まれる。厚生労働省は、うつ状態またはうつ傾向の人を長く支えることができる地域の環境を作り、住民の心の健康の向上を図ることを目的として、『うつ予防・支援マニュアル改訂版』に「新しい介護予防システムにおけるうつ対策」1を示した。この中では、介護予防の観点から「ケアに携わる関係者がどのような対応をしたらよいか」を示すことを目的として、うつ状態にある高齢者を早期に発見し、支援の対象とすることを提言している。
脳梗塞は、医療技術の発達などで急性期における死亡率は近年減少傾向にある。その一方で厚生労働省の国民生活基礎調査によると、脳梗塞を含め脳血管疾患は、介護が必要になる理由の2位に挙がる2。また半数以上が片麻痺を発症するなど、障害の発生率が高い。
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