特集 訪問看護の胃ろうケア―迷いながらも寄り添って
胃ろうを「延命」にしないために
原田 三奈子
1
1訪問看護ステーションすまぁと
pp.859-861
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102621
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先人が「幸せに長生きできるように」と開発してきた素晴らしい医療技術の数々を、「人を簡単に死なせないようにする」ためだけの技術におとしめてはならない。老いや病いを拒否するのではなく、技術を使って「生きやすくする」「幸せにする」ということが大切なのだ。私は、「胃ろう」もまた、そのような多くの技術のひとつであると考えている。
訪問看護師として、胃ろうをつけたさまざまな人を看てきた。ある方は、退院したら経口摂取できるようになり、そのまま胃ろうを閉じてしまった。たしかに胃ろうは、ある一部の人にとっては欠かせない。時に、命を復活させる。「食べる」という喜びへの道を切り拓く、素晴らしい技術である。「食べる」ことは「生きる」ことそのものであり、「一緒に食事をする」という行為こそ本当の意味で「共に生きていく」ことであると言っても過言ではない。では、二度と食べられる見込みがないならば、胃ろうは単なる「延命」になってしまうのだろうか。
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