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次号予告・編集後記
杉本
,
多淵
pp.546
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102234
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日本で在宅死と病院死の数が逆転したのは、1970年代も後半のこと。たかだか40年前までは、近しい人の死が身近にあったのです。亡くなった方をどうお見送りするかという方法も、習慣や風俗という形で、今よりずっと身近にあったのだろうと思います。良くも悪くも死が遠ざけられ、私たちは近しかった人を自ら見送る機会ごと、その方法も失いました。どうしていいかわからないと、不安や恐怖は増大します。でも今、私たちには「エンゼルケア」という方法がある。かつて長老や宗教者が担ってきた一端を、これからは訪問看護師が伝えるようにもなるのかもしれません。ついさっきまで温かかった人の冷たくなっていく体に触れること、その人を失ったことを思い知ること、そして最後の対話をすることは、かけがえのないものに違いありません。…杉本
昨年の夏、憧れていたサッカー選手が34歳という若さで他界しました。彼の名は松田直樹。練習中にグランドの上で倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。急性心筋梗塞でした。「誰よりもサッカーを愛していた」というお母様の言葉を反映するかのように、亡くなった松田選手はユニフォームを着て、いまにも走り出しそうだったそうです。ご家族や看護師の方により、きちんと“エンゼルケア”が行なわれたのだなぁと想像します。そしてまた、16年ものあいだプレーしたチームを解雇され、移籍や引退に揺れていた松田選手も、“グラグラする人”の1人だったのかもしれません。今年もアツい季節がそこまで来ています。…多淵
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