特集 エンパワメントに着目した活動を
精神保健活動の技術としてのエンパワメント
フィル・バーカー
1
,
萱間 真美
2
1ニユーキャッスル大学精神病理看護学
2東京大学大学院医学系研究科健康科学看護学専攻
pp.1136-1142
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902361
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エンパワメントの基本理念
エンパワメントには,いくつかの前提があります。まず最初に,「人の状況やライフスタイルを改善することは可能である」ということです。それから,「援助者が患者の強さを強化することは,問題を焦点化することよりも優れている」と考えます。その際に鍵となるのが「協同すること」で,「参加」がその方法と言えます。「自己決定」は最終目標であり,その結果として患者は能力を高めることができます。
エンパワメントは「人は,可能な限り,自分の生活を自分でコントロールできているという感覚を持つ必要がある」という理念に基づいています。ですので,「エンパワメントな相互作用」によって援助者が目指すのは,「自分自身に対してより良い感情が持てるように,成功体験を増やす」ことです。エンパワメントは,人の「ために(for)」ではなく,人と「ともに(with)」敬意を持って関わることによる相互作用なのです。
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