連載 ほんとの出会い・41
異国に吹き込むインドネシアの風
岡田 真紀
pp.691
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101405
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- 文献概要
日本で介護福祉士や看護師になろうとインドネシアからやってきた若い方たちに取材をした。介護施設や病院にうかがったが,日本人の職員さんは,「いつもニコニコしているので,雰囲気がとても明るくなった」とか「私たちが重い物をもっているとすぐに『持ちましょう』と言ってくれたり,誰に対しても優しいので,利用者さんだけでなく,職員たちにとっても癒しになっている」とおっしゃる。
お会いしたインドネシアの方は,くりくりと大きな目が輝き笑顔がかわいい20代の女性が多く,恋愛や結婚も気にかかる。わが身を振り返るとその頃は勉強や仕事もしていたけれど,恋愛がけっこう生活の大きな部分を占めていた。日本に住んでいるインドネシアの人は少ないので,自分の言葉や文化で付き合える範囲は広くない。日本の男性が,優しくてケアの精神にあふれているインドネシア女性に惹かれることもあるだろう。逆に家族のもとを離れ,慣れない土地で懸命に勉強し,働き,難しい漢字に頭を悩ませている女性たちが,心の支えを求めることもあるだろう。こうして自然に恋愛感情が生まれたとき,いったいどうなるのだろう,協定による来日であるがために,あの笑顔を曇らせることになりはしないかと,親心に似た気持ちから複雑な心境にもなった。
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