特別記事
アジアの新しい風—インドネシア,韓国,中国の自然分娩の動き
松岡 悦子
1
,
安 姍姍
1
,
諸 昭喜
1
,
神谷 摂子
1
1奈良女子大学
pp.790-795
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201111
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はじめに
アジアでは,急速な近代化と医療の導入によって出産時の医療介入が増え,都市部の帝王切開率は先進国を凌ぐほどの高さになっている。ところが最近になって,医療化と逆方向の自然分娩を目指す動きが見られるようになっているのは,新鮮な驚きだ。出産がいったん医療化したあとに,自然な形に再び戻るのは,どのようなきっかけや道筋によるのだろうか。
欧米では,1960年代の第二波フェミニズムと歩調を合わせて,女性たちの自然分娩を求める運動が起こった。でもアジアでは,女性による下からの運動はほとんど見られず,助産師が自律性や専門性を主張して正常産を守ろうとする動きも欧米ほど強くない。アジアでは,どのような形で自然出産への流れが生じるのか。本稿では,私たちが出会ったインドネシア,韓国,中国の状況を紹介して,脱医療化への道筋がさまざまな形を取ることを見ていきたい。
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