社会の窓
インドネシア政変
野口 肇
pp.56
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203527
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10月にはいってインドネシアでは大きな政変が起こりました.いわゆる9・30事件です.
ご承知とおもうが,ここほぼ10年,インドネシアはスカルノ大統領をいただき,ナサコム(民族主義・宗教・共産主義)が共通の国民的な理念になっていて,アジアおよびアフリカの新興独立諸国のモハン,とくにアメリカからおしよせる植民地,帝国主義にたいするいちばん巨大な抵抗をし,全世界のおくれた新独立国のトリデでした.インドネシア共産党は党員350万人,世界最大の実力と,これにともなって労働・青年・婦人・農民団体にも決定的な指導権をもっていました.政府機関や新聞報道機関をはじめ権力諸機関の内部のすみずみまで共産党員とその影響下の人びとが公然とはいりこみ,国をうごかす原動力にさえなっており定例の共産党年次大会にはかならずスカルノ大統領が出席して,感謝と激れいの演説をするなど,世界ひろしといえどもこんな国はありません
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