特集 成人の「発達障害」を理解する
成人の発達障害とはどのような障害か―特徴,職場での現れ方,アプローチの方法
鄭 庸勝
1
1小阪病院精神科
pp.726-730
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101150
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はじめに
発達障害とは,発症時期が幼児期か小児期で,中枢神経系の生物学的成熟に深く関係した機能発達の障害あるいは遅滞であること,そして精神障害の多くを特徴づけている寛解や再発がみられない安定した経過をたどること,などを共通の特徴とした障害であるとされています1)。つまり,幼少期に診断され,その後は安定した経過をたどるはずの障害といえます。
しかし近年,発達障害のなかでも広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders,以下PDD),そのなかでも高機能広汎性発達障害(以下,高機能PDD)の事例,知的には遅滞を伴わない人たちが,幼少期に発達障害の診断を受けることなく成長し,青年期や成人期になってから,学校や職場などの社会的場面でさまざまな不適応が生じるために,医療的,教育的,福祉的な支援を必要とする,という事例が増えてきています。
本稿では発達障害のなかでも,障害についての理解が得にくい高機能PDDの特徴や対応について示します。
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