特別記事(全3回連載)[最終回]
在宅末期がん患者に対する医療行為―3.死亡診断に関する事前約束指示
川越 厚
1
1ホームケアクリニック川越
pp.222-226
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101033
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はじめに
「いま,母が逝きました」
このような連絡が家族からあった場合,夜中であろうとなんであれ,まず医師が患者宅へ駆けつけて死亡診断を行ない,その診断に基づいて訪問看護師は家族とともに,ご遺体のケアを行なう。
現行の法律を厳密に解釈すれば,このような形をとらなければならないであろう。しかし,このような形を厳密に守りぬくことがいかに困難か,また現実とかけ離れているかは,在宅ケアに携わる医師や看護師ならば,誰でも容易に理解できる。
1992(平成4)年の医療法の改正で,在宅が入院医療,外来医療とともに「医療提供の場」となった。画期的なことである。しかし,医師と看護師とが常時身近に存在することを前提に整備されてきたそれまでの法律は,在宅という新しい環境を十分にカバーしているだろうか? 想定外の状況なので,答えは当然ノーである。結果的にさまざまな面でサービスを受ける患者が不利益をこうむり,携わる医療者に過度の負担がかかることになった。死亡診断の問題は,その最たるものである。
この問題を解決し,より高品質の医療を,医療者が働きやすい形で,しかも原則を曲げることなく実行するためにはどうすればよいだろうか。当研究班*で議論を重ねてきたことを紹介したい。
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