読者からの手紙
グリオブラストーマの在宅末期医療
田島 正孝
1
1田島クリニック
pp.291
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901700
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悪性腫瘍の在宅末期医療の症例は増えつつあり,平成10年の日本脳神経外科学会総会での演題区分でも在宅医療が取り上げられている.グリオブラストーマの2症例の在宅末期医療を行ったので今回は病院の脳神経外科医がどのように対応したらいいのかについて述べたい.
2症例とも,在宅医療中に脳ヘルニアによる患側の動眼神経麻痺とチェーンストーク呼吸を生じた.一人は自宅でもう一人は病院で死亡した.私は在宅医療を始める場合には,症状が悪化した場合に最後まで自宅でするのか,病院に入院かをあらかじめ決めておくようにしている.しかし,肺炎や消化管出血を生じた場合は積極的に入院治療を勧めている.病院の脳神経外科医は24時間いつでも再入院できるような体制を作るべきである.2例とも脳圧亢進による脳ヘルニアの呼吸麻痺で死亡した.病院の脳神経外科医は脳ヘルニアの病態について在宅医療を行う医師や介護人に対し,十分に時間をかけて丁寧に説明すべきである.在宅医療を行う医師は脳腫瘍をほとんど診たことがないからである.またてんかんの発作についても,主治医や介護人に自宅での処置の方法も含め十分に説明する必要がある1).けいれん発作は抗痙攣剤を内服していても,何時起こっても不思議でないと説明し,発作が起こった時には,気道の確保を行い,割り箸にガーゼを巻いたような物は使用しないように説明すべきである.
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