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はじめに
経管投薬したら胃瘻が詰まった!
経管投薬とは,嚥下障害等により,工夫しても経口投与が不可能となった患者さんに,鼻や口から栄養チューブを挿入,あるいは腹部から直接胃や腸に胃(腸)瘻チューブを使って投薬する方法である。
今から7年前,昭和大学藤が丘リハビリテーション病院(以下,「当院」と略)の病棟看護師から「パナルジン細粒を経管投薬したら,造設したばかりの胃瘻が詰まってしまった。どうしよう」と必死の様子の電話があった。経管栄養剤が胃瘻チューブに付着していたところに同細粒を投与したことがチューブを詰まらせたと考え,経管栄養剤を溶解させる目的で消化性酵素薬を注入することを提案。実施したところ,2日目に再開通した。
この事例のパナルジン細粒は「パナルジン錠つぶし」という処方指示に対し,薬剤師が医師に確認したうえで剤形を変更した薬剤だった。しかし,この細粒がチューブ閉塞の原因であったことが判明し,「薬剤師によって変更された薬剤がチューブを閉塞させた」という事実に,私たちはショックを受けた。
「細粒剤への振り替えは間違いだったのか?」
「他にチューブを閉塞させる薬品はあったのか?」
「カプセル充填薬は問題ないのか?」
と,次々と疑問がわいてきた。
これらを確認するため,採用している全薬品について,各々を水に懸濁させチューブに注入する実験を行なった。その結果,チューブ閉塞に関する情報に加え,閉塞以外でも問題が生じる薬品が多いことがわかった。調査,実験を繰り返すなかで得た知識と経験をもとに,錠剤などを「つぶし」て経管投薬する従来の方法(粉砕法)の問題点を整理し,これに代わる「簡易懸濁法」を考案した。ここではそのメリット,および具体的な方法の一部を紹介する。
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