特集 こういう看護を何故すべきか
経管栄養法
松本 千代子
1
1長崎大附属高等看護学院
pp.147-151
発行日 1956年10月15日
Published Date 1956/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910212
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日常の食事の献立に栄養学的に特別の注意を払つている人は少いにも拘らず,栄養的疾患に陥ち入る人は極く稀れである。それは我々は無意識的に或は本能的に我々の体が必要とする栄養素を,又はこれを含んだ食物を摂つているからである。暑い時は水が飲みたくなると同時に塩からいものが欲しくなる。暑い時には体温調節機能をはたす汗腺が活躍して塩分を多量に含んだ汗を放散させるからである。激しい運動をした後には甘いものが欲しくなるのは,血液中の糖が筋肉運動の為のエネルギーに変えられて減少した為の生理的欲求である。魚の嫌いな人は時々見かけるが,魚も肉も嫌いな人は殆どいない。魚と肉は三大栄養素の一つの蛋白質の補給源である。新鮮な野菜とか果物は誰しも好むものである。これらは抗壊血病因子ビタミンCと,又は抗角膜乾燥炎因子ビタミンAなどを供給してくれる。従つて我々は健康状態にあればいわゆる食欲を満しておれば更に健康を保つて行くことができる。
しかしながら我々は複雑な社会生活を営んでいる為,肉体的にも精神的にも健康であるとはいえない。身体的には全く健全な入でも正常な食欲を持つているのは稀で,偏食に落ち入る危険があるので,栄養的に欠陥が起きないよう意識的に食事を摂らねばならぬ。それでは日常の食事に含まれてなければならぬ栄養素にはどんなものがあろうか。
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