特集 在宅で必要な薬の知識と服薬のコツ
訪問薬剤管理指導の事例から―適正な服薬維持のためにできること
畑中 典子
1
,
原田 麻紀
1
,
上羽 裕子
1
,
吉原 小重子
1
,
岡崎 仁子
1
1かくの木薬局
pp.588-595
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100742
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はじめに―訪問薬剤管理指導の意義
■在宅と入院の違い
介護保険を利用して家で暮らす方のほとんどが,薬物治療を受けています。慢性疾患の薬物療法は,継続することが大切ですが,そのためには薬物療法をよく理解し,飲み忘れの防止,保管方法の確認,副作用の有無などの管理をすることが必要です。
入院中は,薬の効果や副作用について管理・指導する病棟薬剤師や看護師がいますが,在宅に戻ると本人や家族にすべて任せられます。
院外処方箋で薬局から薬をもらう時に,薬局の薬剤師は副作用や飲み忘れなどについて確認しますが,来局が困難な方については代理の家族や介護者(ホームヘルパーなど)から情報をもらいます。しかし,薬の管理は本人しかわかっていないことも多く,十分に把握できません。
また,入院中は,食事・排泄の介助,入浴や清拭,整容などの日常生活が確保された上で,看護師による与薬が行なわれるため,服薬コンプライアンスの問題はほとんどありません。しかし,独居や高齢世帯,あるいは家族がいても就業しているため日中独居の方がかなり多い現状では,在宅生活を継続するためには,まず食事を確保し,状況によっては訪問介護を利用した排泄や入浴の介助も必要になります。
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