医学の話題
新しい経管栄養法,他
Z
pp.68-69
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911759
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われわれが生きてゆくためには毎日一定量の水分と電解質とそしてカロリーが必要であるのは言うまでもないが,病気が回復するためには健康な時以上にそれが必要である。ところが口から食物を摂取することのできない状態,たとえば胃切除後の時,脳卒中後で嚥下の困難な時,昏睡状態の時,あるいは食道狭窄のある時など,われわれは頭を悩まして来た。そのために静脈から大量の輸液をやったり,その中に1本5千円もするプラスマを入れたりして来たが,これは患者にとって肉体的にも経済的にも非常に負担がかかり,毎日続けることは困難であった。この代わりにゴム管による経管栄養法もあったが,ナースが1日中そばについてやってもせいぜい800カロリーぐらいしか栄養がはいらなかった。イリゲーターに入れて点滴すれば手間が省けるが,これでは濃厚なものははいらなくなる。
米国ヘンリーフォード病院では新しい経管栄養法を十数年来実行しているのでそれを紹介する。器具は直径2.5mm以下のポリエチレン管と特殊なポンプ,それに食物を入れる箱の三つだけである。この箱は食物を入れる中央の部分と食物が腐敗しないように周囲に氷をつめる部分からなっている。ここからポンプで液状になっている食物を吸引し,ポリエチレン管を通して胃に送る。ポリエチレンであるから非常に柔かいし,無味無臭である。
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