連載 わたしのため・からはじまる在宅介護・11
患者会と当事者運動
川口 有美子
1
1NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
pp.1026-1027
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100733
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たまに疲れることもある
患者さんやご家族を支援する仕事は無償ボランティア。連日この国のどこかでALS患者のSOS。駆けつけられるなら走っていきます。メールでの相談もご指名いただきありがとうございます。告知直後の悩みや介護事業所のこと,ヘルパーの吸引のこと,少しでもお役に立てるなら,できるだけ早くお返事を差し上げます。ですから私のメールは卓球の試合みたいで,球(メール)が来た途端に打ち返す。かといって中身があるとも言い難いのですが。とにかく喫緊に準備してほしいものを優先して,短いメールの拙い文章で,豊富ともいえない経験を掘り起こして,アドバイスするのです。だからどうしてもドライな情感のない文章になってしまう。実はこれが第一の悩みの種です。
というのもピアサポートなのですから,自分のためにも他のご家族の悲しみに寄り添いたいし,心の内には別の言葉を隠し持っています。私だって現役家族。だからクールな情報提供者に徹するよりも本当はいっしょに泣いたり嘆いたり励ましたりしたい。たまには会って聞き手に徹して,うんうんって。だけど私は制度係とわきまえて,厳しいアドバイスもしばしばあります。ああ,冷たい奴。
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