研究報告
高齢者のケアとMRSA
鷲尾 昌一
1
,
和泉 比佐子
2
,
岡田 薫
3
,
森 満
1
1札幌医科大学学部公衆衛生学講座
2札幌医科大学保健医療学部看護学科
3九州大学大学院医学研究院病態修復内科
pp.581-584
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100705
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はじめに
MRSA(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌)は代表的な日和見感染の病原菌ですが,メチシリンに耐性をもつだけではなく1),有効かつ安全な抗生剤がほとんどないため,医学的にも社会的にも大きな問題となっています2,3)。特に老人病院や老人ホームではMRSAをコントロールし,院内感染を防ぐことは緊急の課題です。その一方で,MRSA感染の脅威が必要以上に強調され,MRSAの保菌者が医療・福祉サービスにおいて不当に差別されていることも指摘されています4)。MRSAは基本的にはメチシリンに感受性のある通常の黄色ぶどう球菌(MSSA)と同じ性質で,免疫状態が正常であれば,検査でMRSAが検出されても必ずしも感染しているわけではなく,特に大きな問題にならないはずです5)。
本稿ではMRSA感染の臨床像,MRSA感染増加の背景,老人病院入院患者や老人ホーム入所者のMRSA感染の関連因子,MRSA保菌者の取り扱いの注意について解説します。
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