特集 術前・術後管理 '91
E.術後全身的管理
MRSA
齋藤 英昭
1
,
黒岩 厚二郎
1
1東京大学医学部第1外科
pp.126-127
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900587
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■定義と外科臨床上の問題点■
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-re-sistant Staphylococcus aureus, MRSA)はメチシリン(DMPPC)のみでなく,β-ラクタル系抗生剤などに耐性を示す多剤耐性の黄色ブドウ球菌である.MRSAは第3世代セフェム系抗生剤が頻用,また乱用されるようになって急増してきた.そして,MRSA術後感染症は抵抗力の減弱した患者に発症することが多く,肺炎や創感染など難治性感染症の起因菌となる.また,若い元気な手術患者でも術後早期から激烈な腸炎を引き起こし,さらに黄色ブドウ球菌はMRSAに限らず,致死率の高い毒素性ショック症候群(toxic shocksyndrome;TSS)を惹起する.しかもMRSA感染症は,医療従事者を介して病棟,病院全体に拡がる危険性をはらんでいる.
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