連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 訪問看護の充実
石田 昌宏
1
1日本看護連盟
pp.585
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100706
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介護保険制度が始まって,3年あまりが経過した。当初は整備が遅れていると言われていた居宅サービスも,徐々に拡充してきた。しかし訪問看護に限って見ると,まだまだ不十分である。
5月21~22日に行なわれた日本看護協会の総会では,議題の1つに「訪問看護・在宅ケアの充実」が提案され,現場からのさまざまな質問や提言もあった。総会要綱に記載された提案文には,「診療報酬改定による入院日数短縮や早期退院,健康保険法等改正での高齢者や患者の負担増など,医療現場での厳しい状況は,医療依存度の高い患者の在宅化傾向を強めているが,その受け皿整備はこの流れに追いついていない」と,訪問看護等の在宅ケアの体制が十分できていないことをはっきり認めている。中でも,①人工呼吸器装着などで24時間ケアの必要な利用者,②ガン末期や神経難病療養者の緩和ケア,③高齢者のターミナルケア,④医療ニーズを満たすための1日複数回の巡回型訪問,について充足が遅れ,そのために医療無資格者に医療処置を期待し,実際にホームヘルパーによる医療処置が実施された例が報告されるなど,国民が在宅で受けられる医療や看護の質低下を招きかねない現状がある。
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