- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
今,厚生労働省で「新たな看護のあり方に関する検討会」が開かれており,そこで在宅医療の推進に関する内容の1つとして,「在宅での療養患者の死亡時に,速やかに医師が出向けないため,死亡確認が遅れ,家族の不安につながっている現状があり,そのことが在宅療養が継続できない要因の1つになっている」という報告がなされている。
当事業所は開設して9年目であるが,これまでに利用者死亡に際してかかりつけ医の訪問までにかなりの時間を要したり,連絡がとれず急遽死亡確認する医師を探したりといったことを何度か経験した。また,死亡確認が速やかにできず,看取りを終えしみじみとした時間を味わうどころか,いつになったら医師が来てくれるのだろうかといった新たな不安が募ってしまった事例や,かかりつけ医と連絡がとれず,警察医による死亡確認がなされた事例もあった。
このような経験を通して在宅で看取る条件の1つに「自宅へ訪問して死亡確認できるかかりつけ医がいること」の重要性を痛感し,このような事例を訪問看護ステーション運営委員会に報告していた。その結果,利用者と医師会会員の看取り支援のために,医師会としてどのようなバックアップができるか,そのための体制作りも必要ではないか,という動きが起こり,平成11年「緩和ケア委員会」が設置された。
設置から数年を経た現在は,かかりつけ医が利用者死亡時に即座に対応できない場合,訪問看護ステーション担当理事へ連絡,その理事が「緩和ケア委員会」医師へ連絡し,その医師がかかりつけ医の代行として死亡確認する「利用者とかかりつけ医を支援するための連携システム」ができた。このシステムを活用して,かかりつけ医不在時もその他の医師による看取りで安心して家族が最期を看取れるようになった。ここでは,このような活動事例の実際を報告する。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.